|
人は誰しもより,
一層生き甲斐のあるものを探して見よう，もう少し，立派なものを探して見ようと努力するのが本能である．もっと甲斐のあるもの，値うちがあるものというのは各人それぞれの價値觀に從って決まるのである．
その人がどこに價値を置いているかによってその心が動くようになっている．しかし，この世のすべての人達はその價値基準を誤っているのです．この世の中で俗に値うちがあると考えるのは物質である.
物質によって望み通りのものが得られるので，物質に人生の價値を置くことになり，世の中は段だん物質万能主義の時代に化して行く．
◇
物質と權力と理性間の愛が與える喜びには限度がある
しかしながら，物質は人生を完全に幸福にはしてくれない.
しばらくは我われに樂を與えてくれるかも知れないが，決して我われの人生を嬉しくしてくれることはない.物質には限界がある．人は誰でも幸せを望み，喜びを追求する．人が追求する價値は幸せなのである．人が幸でなければ病氣にかかるようになり，苦痛と惱みがつきまとうようになる．
不幸だから，結局，人は死ぬのである．だから，人が幸せを感じる事が出來ないというのは，本當に不幸な人生になることであり，不幸な人生の中で暮しているのは，まさにその價値基準が誤っているからである．ある人は幸せの基準を男女の出合いに焦点を合わせている.
我われの人生の先輩達，我われの先祖達が步いて來た足跡を見る時，多くの人達が男女の間の愛に幸せの重要なポイントがあると考えた．しかし,
男女の間の愛は傷を殘して心に辛さだけを殘して消えて行くのである．
男女の間の愛には幸せを分かち合うことが出來ないので，物質があれば幸福になると考えるのではないだろうか，物質を積んで置いた所に幸せがあると思い熱心にお金を稼いでお金持ちになってみたが，やはりその所には幸せはないのである．だから，ある人は權力を握れば幸せを享受するだろうと思って權力を握って見たが，やはりそこにも幸せがなかったのである．
◇
完全な哲學がなかった爲に，この世は誤っている
今日まで，人類はこのような失敗を繰り返し續けて來た．それはその價値基準が誤っているということになり，それは誤った哲學を持っているからである．この世に立派な哲學がたくさん出ているようだが，實際にはこの世に完全な哲學を持っている人が出たことがない．
もし,
たった一人でも完全な哲學を持ち出したら，世の中は變わるようになっている.
この世自體が完全な世に變わるようになる．哲學というのは生の目的と理念を指すのであるが,
今日まで生の目的と理念が間違って設定されているので，完全な哲學が登場することが出來なかったのである．
◇
人間の主體靈は魔鬼の靈であるという驚くべきこと
今日まで生の目的と理念が間違って設定されるしかなかった理由は,
全人類の主體靈が卽ち魔鬼の靈であるというこの大變な事を知らなかったからです．魔鬼の靈は魔鬼の考えしか出來ない．故に，魔鬼の靈は欲望の絆を拔け出すことが出來ない．この世の價値基準というのは「私という意識」を拔け出して成り立つことが出來ないので，つまり，欲望の絆を拔け出すことができないので，その價値に限界がある哲學を生んだのである．私は人間の主體靈が魔鬼の靈であるという大變な事實を指摘するのである．
「私」と言う主體靈が卽ち魔鬼なのである．「私」と言う主體靈によって不幸，苦しみ，老いと死，そして血が腐ることになるのである．「私」は「私」という意識の範疇を拔け出すことが出來ない．だから，限界が決められている狹い哲學を持つしかなかった．もともと人の主體靈は神樣の靈であった．今日，人間の中にその證據が殘っている.
人間一人一人の心の中に良心がある．
もともと人はこの良心が主體靈であったし，この良心がまさに神樣の靈であった．神樣の靈こそ生命の靈であり，幸せを持って來てくれることが出來る靈である．
今も人は神樣の靈である良心の力でその生命力を持續している．今日，科學者に「人がなぜ生きるのか」ということを聞けば，彼らは返事が出來ない．生命の根本については返事が出來ない．‘なぜ生きるのか知らない．
ただ生きていることだけである’というのが彼らの返事なのである．
ならば，彼らの學問は學問ではない.學問というのは生命の中に存在する．人がどうして生きるか，草がどうして役に立つか，木がどうして生きているかというのが學問の基本である．故に，生の學問を知らないというのは學問ではない．今日，人が生きるのはまさに神樣の靈によって生きているのである．
だから，もとの人間の主體靈であった神樣の靈が魔鬼の靈に勝ち，神樣の靈が支配する時代に變わらなければならない．その時こそ人びとは幸せを取り戾すことになり，
「生」の生き甲斐を得るようになれば，その時になってようやく死を知らぬ者となり，不安と恐怖，煩みと苦しみを知らず，淚と嘆きも知らずに美しく燦爛たる生を生きるようになっている．
それ故に，今日，眞の學問が出てこそ人がどうして死に，人がどうして生き，人が死なずに幸福に暮らす秘訣について論ずることが出來るのである．この世を指して闇の世であると言われる．どうして「闇の世であるか」と言うのは，それは心が暗いという意味である．無知であるという意味である．
何も知らない人が何かを知っている振りをすれば，それはみっともないと言われる.
生の目的も知らずにただ生きるというのはまさに無知な人生を生きるということである．あなたは何のために生きるのかと聞かれ，ただトテツもない言葉を返したり，或は「私は知らない，どうして生きるのだろう」と答える．目的もなく生を迷う人たちである．目的が無いから希望も無い．希望が無いから喜びが無いのである．
どうして生きるのか，今日はどうして生きるのか，明日はどうして生きるのか，昨日はどうして生きたのか，目的もなく世を生きれば，それは牛や犬と變わらない．豚や犬は生きる目的がない．ただ食べること,
子などについて知ってその日その日を生きるのは牛豚と何ら變わりはない．
◇
人は神樣になる爲に生きなければならない
今日，皆さんに何のために生きるかと質問をすれば，何と答えるか．我われは神樣になる爲に生きる.
人間の本鄕である神樣の靈に回復する爲に我われは生きるのである．我われの主體靈であった神樣の靈を回復するのが我われの人生の目的なのである．神樣の靈は生命の靈であるので，我われの生命を殺す魔鬼の靈と戰って魔鬼に勝ち神樣に生まれ變わることが,
我われ人間の目的であり,
理念なのである．
我われの先祖である神樣は，自分の子が苦勞に苦勞を重ねて死ぬことを望んでは居られない．永遠に幸せを享受して生きることをお望になって居られる．故に，神樣は我われに永生の道を敎えて下さっている．人びとが永遠に生きようとするのなら，その人が幸福ではなければ,
永遠に生きることが出來ない．
その心に少しでも苦しみがあるとか，心に陰が出來るとかすれば，永生を得るためにはその心の中に陰があればならない．その心の中に嬉しさが溢れてこそ永生を享受することが出來る．しかし,
その喜びがしばらくの間現われてある瞬間にその喜びが消えてしまうなら，永生は不可能になる．常に嬉しくて樂しいので幸福でなければならないことであり，その喜びが冷えてしまえば，彼は死ぬしかはない.
それ故に喜びが永生であり，永生が喜びなのである.
飜譯:尹金玉
勝師
藤田多惠子 勝師
監修
|
生命のみ言葉
