日本歷史を遡れば韓半島に入って行く.陰曆の時代から陽曆の時代に變わって１００年を優に超す日本では, もう聞く事の出來ないような陰曆の“わらべ歌”　“言い傳え” “箴言”などをこの國で聞く事がある. 子供の頃に祖父から　“我が民族が忘れてはならないこと”として敎えられた言葉の幾つだと言うが何時まで語り續がれるのだろう.

  「干支が回れば世の中變わる.１００回廻れば不死の世がくる」 とか, 「朝鮮から世界の人を救う人が出るよ. もう食べ物に困る事はない. その人は釋尊も, 孔子も, キリストも敎えなかった事を敎えるそうだ. その人が現れたらお前たちは從え！私は死んで行きが, お前たちは必ず從える. 間違いなくその時代は來る」

  韓國では“優曇華”の花がさいた. 「空中華」とも言われるこの花は, 土から上に向かってさくでもなく, 佛像の顔から橫向きにさいていたり, 比丘尼の手にさいたり, 薔薇の花の中にも, その他あちこちにさいたと聞く. “釋尊入滅後3007年經てば未來から來る佛 · 彌勒佛が出現したことを知らせる爲にさく”と言うそうした意味も何のその, もっと美しく珍しい花ばなで滿ちている現代だから, 今どきのTV局は取材にも應じないとか. 嘗て人の世の幸福を夢見つつ世を去った君子達や佛子達と同じ民族なのか.

  その昔, 先進國であった中國に逆らい, 獨自の 「朝鮮の天」 を會得し, 天文學によって小國の農事を豊かにし民の幸せを構築したのは, 政府高官の反對をおして密かに庶民の爲の文字ハングルを考案した李朝4代の世宗大王 (1392-1450年) であった. その少し後の時代, 天文學の最盛期に王室と庶民に深い關わりを持つ一人の天文學者が出て, 朝鮮民族と世界人類の未來を書き殘した.

 甘露

  以來, 學問をする家系では代代その偉大な人物を輩出しようと一門を擧げて力を注いだと言うが, 日朝合倂によって 「格菴遺錄」 は姿を消し, 更にその後ハングル敎育を受けた人達には漢字ばかりか 「自古預言秘藏之文 隱頭藏尾不覺書」と言われる難解な破字などで綴られた漢文を解讀することは難かしく, 今は知る人も少ない. 著者は「南師古(ナム·サコ）」という方である.「師告號格菴又號敬菴英陽人 明廟朝官社稷  參奉拜天文學敎授 少時逢神 人受秘訣風水天文俱得天文通曉 公以正德四年己巳生 隆慶五年辛未卒壽六十三歲」

  お送りしました一文 「地球の大災難を防ぐ方法と方向が間違っています」 は, 日本人には耳馴れない言葉も交えて綴られていますが, “不思議の國, 韓國” を*　間見る事も出來ます. 500年を待った南師古先生の遺錄の主人公· 曺熙星さまが道通したのは1980年10月15日50歲の時であり, 後に, 神の人として世を生きた齡は七二歲であった.

  曺熙星さまの足跡

  1931年, 韓國京畿道金浦の貧農の家庭に八人の子の次男として生まれる. 日帝時代の中期で民族全體が苦役の時代であった. 曺熙星さまが通った小學校の校長先生は吉田という名の軍人で, 子供たちを慈しむその薰育は少年時代の曺熙星さまの心に深い影響を與えた.吉田先生との別れは日本の敗戰による. 先生は少年曺熙星を抱きしめて3時間も泣き續け, 少年曺熙星も共に泣いた.翌年正月, 友人達と夜遊びをした翌朝,友は一夜にして歸らぬ人となった.人が死ぬという事を知った.

   一人裏山に登って?らぬ友の死を悼むうちに死に對する疑問が湧き起こり, 悲しい離別を無すにはどうすればよいかと考え始める. 「人は何故死ぬのか？」 「死の要素は何か？」 少年曺熙星の思いはやがて生涯をかけて死に立ち向かい, 死と爭う人生 となる. 醫學者, 哲學者を片っ端から讀破し始める.

  中學生になってキリスト敎に出會い, 死後に永生の國があると聞いて熱中する.しかし, 永生の國に入る爲の神 (ハナ二·お一方さま) の敎えを實行するには不可能な自分を悟り, なし遂げ得ない自分の存在は意味なしと漢江に身を投げて自殺を圖ったが, 釣り舟の人に見つけられ再び生きる事になる. 死にたくも死ねなかった自分と, 死を望まずして死んでしまった友. 以後, 深い思いに沒頭する日びとなる.    續く