救世主の道を步む我らは現在の苦しい狀況を逃れようと汲汲せず,

 万民を救うためにはいつでも自己をいけにえ

にするとの覺悟を寸時も緩めていてはならない.

曺熙星チュニムは救世主とはこの世で最もかわいそうな存在,

卑しい存在だとおっしゃった. 言うまでもなく救世主になるということは

自己を犧牲にすることが前提になるからであろう.

犧牲の道こそ義人が步むべき道であり, 救世主が步むべき道であろう.

死の世界を終わらせ(終万物)新しい永生の世界を始めさせる(始万物)艮方の地(國)韓半島で, 周易八卦と六韜三略に示されている順序に沿って先に水雲崔濟愚先生が出現, 次に火雲康甑山先生が出現された. そして前回では火雲康甑山先生ご自身がなさる天のお仕事は水雲先生の後を引き繼ぎ行なって居られることを幾多も闡明されたことについて述べた.

火雲先生の言行に基づいて書かれた『大巡典經』には後世の人たちに道しるべとなるたくさんの敎えが遺されている. 今回はその中から世界万民を救い出し, 永生の世界を成すために「救世主の道」を步んでいる我らに龜鑑となるようなお話をひとつご紹介させていただくことにする.

もう, その長い道のりの最後.終着点に到達しようとしている.

現在わが勝利祭壇には一生涯を捧げて神樣の天のお仕事について來られた方がたがたくさんいる. 人間の一生涯をおいてみればその期間とは長い歲月だとせざるを得ない.

したがって, 苦しいこの天のお仕事が一日も速く終わることを願うのも當然の心境であろう. ゆえに, 勝利祭壇が建ちあがった初期から來ている方がたの中には耐え忍べずこの道から落伍された方も少なくないことを我らは知っている. しかし, 最後にゴ-ルインするその瞬間まで走らなければ今までの全ての苦勞が台無しになってしまうのがこの道である.

ところが今はもう, その長い道のりの最後. 終着点に到達しようとしている. しかし, 決して安心していてはならない. 最後の５分を耐え切れず落伍する人が出てこなかろうとは言い切れないのがまたこの道だからだ.

神樣が惡魔にお勝ちになって居られるにも關わらず今日まで時間を延ばし續けてきたわけにはただひとつ神樣の切實な願いがあるからだ. 出來ることならこの世界の最後の一人までも永生の樂園に同じく參加させようとすることである. そのような神樣の深いみ旨を汲めず自分ひとり苦しみを逃れようと万民の安危はどうであれ一日も早く神樣のお仕事が終わらないことに不平を言うのは眞の救世主の道を步むものとは言えないだろう.

下記は火雲先生が遺されたお話である. このお話の內容は眞の救世主の道を步む人の心はどうあるべきかについて分かりやすく敎えてくれている.

『大巡典經』初版３章３６節「いつも天地公事を行なわれる時, 全ての從徒たちに, 心を磨いてこれから來るであろう良い世界を迎えよと言われるので, 從徒たちが一日も早くその世界が來ることを望んでいたが, ある日辛元一が申し上げて言うに, 先生が天地を開闢され, 新しい世界を建設されると言われてすでに長い月日が經っており, 公事を行なうのも累次經たが時代の現象は少しも變わりがないので, 弟予の疑惑が深まっています. 先生よ, どうか一日も早くこの世界を覆って仙境を建設され, 他人の潮笑を退けて, 待ちに待っている私たちに榮華を與えて下さいと. 先生は言われるに, 人事には機會があり, 天の理には度數があって, その機會を作り, 度數を作り出すのが公事の規範である. 今その規範を捨て無理に事を運べば, これは天下に災厄を及ぼし, 億兆の生命を奪うことになりかねないので, 敢えてすべきことではないと.  元一がこれに對して申し上げ, 今天下は混難し, 人道は地に落ち, 善惡の分別がなくなっています. 當然速やかに舊世を葬り, 新天地を開くのが正しいのではないでしょうかと. 先生はこのことを心苦しく思われ七月に元一と數名の從徒を連れて邊山(地名)の開岩寺に行き, 指に水をつけそれを扶安邑石橋(地名)の方に向かって振ると, 急にその方向に雲が集まり, 大粒の雨が降り出した. 開岩寺付近は快晴であったが先生は元一に命じ, 速やかに家に行って來なさいと言われた.

衆生を救い痛んだ世の中を癒すのは聖人の道であり, 民を苦しめて災いを與えてまで天下を求めるのは覇者の策である.

元一が命を受けて家に歸ったところ, 彼の弟の家が大雨によって倒坡壞し, その一家が自分の家に避難して集まっていた. それを見た元一が悲しみに耐えられずすぐ引き返し, 先生にその樣子を傳えたところ, 先生が言われるに, 開闢とはこのように簡單なものである. 天下を水で覆い, すべてのものを滅亡させ, 我われのみが生きているとしても何の幸があろう. 大抵, 濟生醫世, すなわち衆生を救い痛んだ世の中を癒すのは聖人の道であり, 災民革世, すなわち戰爭など民を苦しめて災いを與えてまで天下を求めるのは覇者の策である. 今天下が覇者に苦しめられて久しく, 私が相生の道によって化民靖生, すなわち万民を和合して世界を治めるので新しい世界を展望することが困難な事ではなく心を持ち直すことが困難な事である. 大人の道を敎ぶ者は常に他人を救うことを考えねばならない. なぜ億兆の民を減亡させ, 獨り樂を求めることが正しかろうか.」

曺熙星樣は勝利者救世主になられた後, 24年間を世間の嘲笑と非難を浴びせられ, また2回に渡る10年間の獄苦を强いられ, 終に玉體まで投げ捨てられた事は, 惡魔の裏をかく高度の戰略であると同時に神樣の切ない念願によるものである.

それは必ず三百人の義人が完成することで惡魔の最後の足搔きによる3年間の大凶作と2年間の疫病の大變な犧牲を防ぎ, 万民をすべて救い出し, 永生の樂園に入らせるとの念願である.

救世主の道を步む我らは現在の苦しい狀況を逃れようと汲汲せず, 万民を救うためにはいつでも自己をいけにえにするとの覺悟を寸時も緩めていてはならない.   

曺熙星チュニムは救世主とはこの世で最もかわいそうな存在, 卑しい存在だとおっしゃった. 言うまでもなく救世主になるということは自己を犧牲にすることが前提になるからであろう. 「救世主のいない世界は救いがない. 救世主がいなければ救いの希望がない. 6,000年ぶりに神樣が人間の體を召して韓國の地に來られた救世主を大切にし, 命を掛けて協力せよ. 疑えない. 今は惡魔の超非常事態である.」チュニムのみ言葉である.

犧牲の道こそ義人が步むべき道であり, 救世主が步べき道であろう.*

原文：金白頭勝師

譯 ：東京祭壇 李貞馥勝師  03(3202)978