前回の記事で書ききれなった六韜三略の 「韜」 について說明を補い, 引き續き金白頭勝師の連載記事 「天機⑨」  を日本語に譯し, 轉載させていただくことにする.

まず, 六韜三略 「韜」 とは漢字辭典(韓國語)を引くと1, 隱す, 締めくくる, 包む(弓を射るときひじを覆う弓籠手(ゆごて))２,  物を揷しておくさや 3,  室 4, 秘訣, 兵法の秘訣などと說明されている. 六韜三略とは6段階の神樣の隱された計畵という意味であり, これを簡略に分類すれば3段階の戰略という意味になる. 神樣の天機が隱されている預言書の中で六韜三略はその基本となる大きな骨組みであり, これはまるで論文の形式を序論, 本論,結論に分けて書くように惡魔に奪われた宇宙を取り戾すための神樣の基本計畵書の大フレ-ムなわけだ.

六韜三略にはこの宇宙が生成された原理と宇宙監獄を造ってしまった惡魔の邪惡な目的がはっきりと示されている. そして 「天地公事」 プロセスの順序と出現されるべく天の人物達が順番通りに豫示されている. ところが, 六韜三略はいつ, 誰によって書かれたのだろうか. 今日傳わっている六韜三略には書かれたその年代も著者も知られていない. ただ, 筆者が現在までわかっている事柄を根據にその作成時期を推論してみると次のようである.

市中の書店には 『兵法六韜三略』 という本が棚に陳列されている. この本の著者の姜 太公(太公望)は, 中國古代王朝殷の末期, 周の初のこれから3,150年前の人物. 當時, 諸侯國である周の文王とその息子である武王を助けて天子國の殷の暴虐な紂(ちゅう)王を滅ぼし, 邊境の諸侯國であった周を天子國につくり上げた人物である.  彼が本のタイトルを 『兵法六韜三略』とつけたのは彼が本をつくる前, すでに『六韜三略』というものが出回っていたことを暗示するものである.   

例えば近現代にはすでに『六法全書』という本があってそれにちなんで世間ではよく會計士の六法全書だの建築の六法全書といった言い方をする.  

このように○○の六韜三略,＊＊の六韜三略という付け方をしていたに過ぎない. もしこの推論が事實であるならば天機が隱されている六韜三略の作成年度は3,150年, それ以前にさかのぼることになる. しかしこれはあくまでも筆者の推論であることを斷っておく. 事實上いつ, 誰によってつくられていたのかは天機の本質とは關係のないことだ. 

六韜三略は宇宙の構成法則と運行原理の核心コ-ド

今日のこの宇宙とは, 光の狀態で居られたアダムとイブ, そして神樣がばらばらに碎かれ, 万物の中に閉じこめられている神樣の監獄だ. 一方, 捕らわれなかった神樣, すなわち自由の神樣は 「宇宙監獄」 の構造と運用原理を見つけ出された. それは 「易」 の原理だった. 易の原理とは現宇宙を構成する法則とあいまって運用される原理であるが, 惡魔がつくった宇宙監獄の原理なので惡魔の原理といえる.

惡魔はこの原理をもって宇宙監獄をつくって運營しており, この宇宙の中に閉じこめられた神樣を滅亡させるまでの全ての計畵をこの原理で拔かりなく組みこんでおいた. 神樣はこの原理, すなわち易の原理を搜し出し,この原理を用い, 計算され, 惡魔が組み立てた數千年後に進行される計畵を全て見出されることが出來たのだ.もちろん神樣はご自身で惡魔の秘密を見つけ出されたことを徹底的に秘して置いた.

そうならば神樣はどうして惡魔がつくった原理をもって惡魔にお勝ちになる計畵を立てられたのだろうか. これがいわば兵法でいう最上昇の戰略の「將計就計」である.「將計就計」とは先方の戰略と戰術を先に察してそれを逆に利用し, 相手を完全制壓する最高の兵法であり, 戰略だ. 相手より勢が不利な狀況にいるとき, 正面衝突すると敗れるほかないし多大な犧牲者も出る. しかし戰う前に先方の戰力を正確に把握し, 先方の戰略と戰術を完璧に知った上で, 有利な場所, 有利な時間, 有利な條件を當方が取り, 當方の力にあった戰略を立てて戰えば孫子兵法でいうように百戰百勝, 百回戰って百回全てを勝つことが出來る.

これから神樣の「戰略書」である六韜三略を解いていく過程で自然にわかるようになるだろうが, 實に神樣の驚くべき戰略と智惠には感嘆せざるを得なくなるだろう. 不意に見ると特別なものに見えない六韜三略の圖であるがその圖の中には森羅万象の構造と運行原理が詰まっている. 言い換えれば宇宙の構成法則と運行原理の核心コ-ドである. 

黑白の点の中に詰まっている原理

上記の圖で見る黑白の点の中には樣ざまな原理が複合的に入っている. 第一, 陰陽の原理が表れており, 黑点は陰を白点は陽を表している. 第二, 1から10まで易理の數が入っている. 第三, 東·西·南·北·中央５方位が入っている. 第四, 水·火·木·金·土の五行が入っている. 第五, 相生の原理が入っている. このような原理らはこれから六韜三略, 周易, 格庵遺錄の中に秘されている 「天機」 を解いて行く上で必ず必要であるため, その基本要点のみ手短に說明することにする.

①陰陽：宇宙万物は大きかれ小さかれ陰と陽の2つの性質で成している. ②1~10までの數：1,2,3,4,5は生數(万物を産む數)とし, 6,7,8,9,10は成數(仕遂げる數)としている. そして1,3, 5,7,9は奇數で陽數といい, 2,4,6,8,10は偶數で陰數という. 例えば成數６は, 生數１に中央５を足して(1+5=6)なるものである. したがって1は生數, 6は１の成數になる. また, 成數７は, 生數２に中央５を足して(2+5=7)なるものだ. このような原理で3+5=8になり, 4+5=9, 5+5=10となる. 上記の圖, 「龍馬河圖」 は1~10までの數字が生數と成數の法則で連れ合いをなし, 5方位に配置される. 北には1,6, 南には2,7, 東には3,8, 西には4,9そして中央には5,10が配置されている. ③五行：やはり5方位に配置される. 北→水, 南→火, 東→木, 西→金そして中央→土が位置する. 

五行の原理には目に見えない事物の性質も含まれる 

ここで方位と數そして五行を合わせて整理すると「北－1,6－水」「南－2,7－火」「東－3,8－木」「西－4,9－金」「中央－5,19－土」に配置される. ④伏義氏の龍馬河圖：相生の原理を示しており, 相生圖の北を起点として左側に旋回する. 1)水生木：水は潤いによって木を生長させる. 2)木生火：木をこすり合わせることで火が生じる. 3)火生土：火は燃えることで灰(土)を生じる. 4)土生金：土はその壓力で金(鐵, 岩など)を生む. 5)金生水：土の中で石や鐵などは水路をつくり, 導き出す. このような手順で相生の原理が進んでおり, 龍馬河圖にはその原理が示されている.

以上の說明は目に見える事物をもって說明したが, 五行の原理は, 事實上,目に見える水, 木, 火, 土, 金に局限されるものではない. 例えば水がもっている性質といえば, 柔らかくて, よく流れこみ, 一定の形を固執しない. 自然の中にはこのような特殊で多樣な水の性質の事物が存在し, その全てを含めての意味である. 木, 火, 土, 金もやはり同樣である.* (次回につづく)　

  東京勝利祭壇　李貞馥勝師　          03(3202)9781