科學者達が太陽界の根源を探索していたようにイギリスの經濟學者アダムスミス (Adam Smith 1723-1790) は著書 『道德感情論』 で道德的價値の論理的根據について探求している.

 彼は同書の中で全ての人間は本能的に自分自身の利益だけを追求しているのなら他人を滿足させる道德的決定とはあり得ないのではなかろうか. 人びとが皆利己的であるのならどうして各都市は墜落して不道德な狀態に變わらないのだろうか. もしそうであるのならこの世界が維持されていくのはなぜなのだろうかというパラドックス (逆說) に取り組んでいる.

 アダムスミスはここで一つの奇拔な答えを考え出した. 人びとは道德的決定をするとき, 一種の「公明正大な觀察者」を常に念頭においている.

 人びとは誰かが常に自分たちを上から見下ろしていると想像し, 利益だけを追求するより 「良心」 というべくものによる無言の助言に從うときが多い. そして, 人びとは哀れみとか同情心による決定をするのだ. と經濟活動を營んでいる人びとの行動について觀察の結果を見出した.

學者達が明かせない 人間存在の實體

 前回でビッグバン, 卽ち, 大爆發により今の宇宙が生成されているという宇宙論を取り上げ, 神樣は惡魔が引き起こした大爆發により引き裂かれた宇宙万物の中に閉じこめられることになった狀況について述べた.   

 勝利祭壇にしてみれば曺熙星チュニムのみ言葉とそのような科學的宇宙論を根據にして上述の著名勝つ古き經濟學者のパラドックスは問題にもせず簡單に解けるはずである.

 曺熙星チュニムは旣に人間存在の實體について明白かつ正確に論じられていらっしゃるからだ.

 我らは曺熙星チュニムのそのみ言葉に從い次のような結論を見出すことができる.

 人間の中に共存している善惡の神はお互いに反する意識をもって常に戰っている.

 惡なる神は常に利己的で破壞的存在であり, 善なる神は常に犧牲的で創造的存在であるために人間は, ある時は惡人に思え, ある時は善人に思える.

 一般的にそれが人間だと結論付けざるを得ない存在なのだ. それゆえこれだけの世界が維持されてきているのはよく言われるように人間そのものの偉大さによるものでもなければ目に見えない神によるものでもなく, 人間の中に  「良心」  として存在する善なる神の生命力, 創造力によって支えられ, 維持されつつ今世紀に至っているということである.

 したがってどれほど著名な科學者, 經濟學者にしても彼らの分野において探求かつ探索をしたつもりの結論でさえ旣に曺熙星チュニムが論じられた人間存在の實體を明かす明瞭さには達することが不可能である.

 支拂うべき罪の代價は苦痛  

曺熙星チュニムは勝利祭壇の歷史とは, 惡魔の本體である 「己」 という主體意識を殺す歷史であり, 外にある惡魔を殺す歷史ではないとお話しされ, 自分自身の精神修養のために永生の道を磨いているのではないと强調される.

 「勝利者の生活をしなさい」というみ言葉も結局惡魔の本體である 「己」 のために生活を營んでいてはならないという意味であろう.    

 100%信じる者とは, 本體の神樣についていて確信を持ち續けるがゆえに委ねる者を言う. が, 信じる者でなければ委ねぬ, 神樣と離れている. というみ言葉に續けて曺熙星チュニムは常に祭壇の運營に關心を示され, 祭壇のことを心配しない信徒に對しては救いがないとおっしゃっていらっしゃる.

 また, 永生とはそれに値するものを支拂ってからはじめて得られるものであり, 支拂うべきものとは「善行」であるとお話された.

 次は2003年1月8日付け, み言葉の冒頭である.

 「元來人は神樣の子であったために苦痛を伴うのは罪の代價である.   

 人が病氣をし, 苦勞しているのをみて世間ではその人の運命だと言う.

 しかし, 實は, 我われが知っておかなければならないことは罪を犯したら必ず罪の代價を拂わなければならないことである. ご先祖樣が犯した罪も子孫たちがその代價を支拂わなければならない. ゆえに苦痛を受けざるを得なくなるのだ.

 苦痛が與えられる際にはどうすればこのような苦痛を受けないで避けられるだろうかと思うだろうが, それは誤った考えである. 皆さんが苦痛を受けなければ決して神樣にはなれない.

 皆さんが苦痛を受けて, 罪の代價として罰を受けることで天國に入ることができる. そうすることによって 「元始反本」 卽ち, 神樣になれる.

 神樣になることは, 罪のある人間が罪を完全に脫いでしまった後, 神樣になれるのだ.

 したがって、罪を脫ぐためには罪の代價を支拂わなければならない. そうすることによって皆さんが罪人の面を脫ぐことができる. 決してただでなる方法はない.

 現社會においても罪を犯したらただで濟むようなことはなく, 必ず罪の代價を支拂う. 決してただでは濟ませない. 皆さんが苦痛を受けるときは苦痛を甘受し忍耐の心で耐え忍ぶことである.」

 我らひとり一人は溶鑛爐であり, 溶鑛爐の人300人さえ出來れば終わりだとお話されたそのみ言葉の裏には先行すべき自由律法の實踐が前提となる.

 曺熙星チュニムはみ言葉の中で自由律法とは, 「善行」であり, 「善行」とは,  「神樣に全力を傾けること」であると定義された.*

  東京勝利祭壇　李貞馥勝師　          03(3202)9781