太始前, 光の存在だったお三方の神樣は一體でいらっしゃった.   

 その傍らに8匹の惡魔がいた. 嫉妬とねたましげな性質をもった惡魔らは,まぶしい光彩の中で快樂に滿ちている三位一體の神樣の天國をねたましくなるばかりの歲月を默って過ごすわけにはいかなかった.

 惡魔らは緻密な陰謀を企み, 三位一體の神樣を不意に襲擊し, まったく予想していなかったお三方の神樣の中で,お二方の神樣は惡魔に囚われ,お一方の神樣のみ脫出に成功された. この事件により三位一體の神樣,すなわち, 天國は崩れてしまった. まさにこのことが聖書で言う善惡の木の事件である.

 お二方の神樣を拔け目なく包圍した惡魔らは優勢な力を利用しどんどん壓迫してきた. 惡魔の陣の中に閉じこめられたお二方神樣は死力を盡くしたが２對８の力は劣勢でだんだん萎縮していった. そのうち,これ以上萎縮できない狀態にまで縮小された.                         

 この狀態を物理學では宇宙の玉, あるいは特異点という. この特異点狀態とは超密度に壓縮されブラックホ-ルを作るとされる宇宙空間の假說上の点であり, 溫度は10の32乘と推測している.

 惡魔らがこのように凄まじい壓力狀態にしたのは, 次に大爆發をもって一つの塊であった神樣をばらばらに引き裂いた後, 次の計畵の段階に進むためだった.  

 いよいよ惡魔らはものすごい壓力の特異点の狀態から一瞬, 壓力を除去してしまった. その瞬間大爆發が發生し, 神樣も惡魔も全宇宙空間に分裂していった.   

 そして惡魔は自ら分裂を廣げつつ, やはり分裂され廣がる神樣の光の細粒を優勢な數と勢力で捕らえていった. このことを物理學界では「ビッグバン」といい, 今日の宇宙の始まりに關するほぼ定說になっている.
 

救われるべき存在は人間ではなく神樣 

 「ビッグバン」以後, この宇宙は惡魔が神樣を捕らえている狀態, 一言で言えば宇宙は神樣が惡魔によって閉じこめられている監獄に化した.

 人類の歷史が始まった以來, 宗敎めいた集團ではよく人間が誰かをあるいは, 何かを信じることによって救われると主張している. しかし, なぜ人間は生まれながら罪人と決め付けられ, わけもわからぬその罪のわなから救われなければならない存在なのだろうか. 救われた人間にその證據は何ろうか. 幾多の有數の宗敎團體はこのような素朴な疑問にいまだ正解を提示していない. それどころか, 彼らは救われる對象さえ誤っている.

 上記のように科學的な理論に基づいて現實の人間には神樣と惡魔, 兩方の靈が宿っていることの說明から救われる對象は人間ではなく人間卽ち, 惡魔の監獄に閉じこめられている神樣であることがわかる. 救われるべき存在は人間ではなく神樣なのだ.    

 その神樣がいま我らの中で救われる日を待ち望んでいらっしゃる. 人間の中には兩方の神が宿っているために, 考えがどれほど複雜でも二つ, 神樣それとも惡魔の考えしか存在しない. ご自分の所有物が山ほどあっても持ち主は自分ではない. 現にご自分を成しているものの中から神樣のものは神樣が, 惡魔のものは惡魔がそれぞれ取って行かれたとしよう. その後, 自分が別に取るものは殘っているのだろうか. 應えはノ-である. ただの空っぽの體, つまり空き家に過ぎない殼だけが殘るだろう.

 もともと自分のものだと大切にしてきた全て,すなわち, 意識, 考え,そして命といった精神的なものから樣ざまな財貨といった物質的なものまで本當は自分のものというのは何一つ存在しない. 先述のように惡魔は, 普通の視力では見えない宇宙の素粒子單位にまで徹底的に捕らえて支配し續けているため, 自分のものに思えることだけだ. 體は我らの意識の主體から司られている. 我らの體はただのロボットに過ぎないのだ.
 

獻金とは神樣に捧げるものではない

 我われはよく神樣に獻金をするという. それ以前, 獻金とは我らの所有物から分けて出すものと思っているかもしれない. 本當は神樣のもので惡魔を食べさせているような狀態が今の人間なのにかえって, 神樣のものをもって捧げるという理屈ははじめからけしからぬ事であろう.    

 感謝の獻金など神樣の側から思えば返してもらっている當たり前のことであり, 神樣が特別にお喜びになるだろうと期待するほうがおかしいのだ.

 神樣の攝理に我らの獻金がお役に立てられると思ったらそれは無知なお話である. 神樣のなさることのためなら獻金は必要ではないだろう.というのは神樣の攝理は, 我らの獻金有無によって成就されるか否かの槪念の類ではないからだ. 300人の義人作りだけが目的だった曺熙星チュニムは, 義人候補者たちに强度のある訓練が必要であっただろうし, 人間の中の神樣が救われた狀態すなわち, 義人になるためにはまず自分の所有物を無くすことだった.

 聖書マルコの福音書10章にはよく知られていることが書いてある. 「金持ちが神の國にはいるよりは,らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい(10:25)」また, 「私のために,家,兄弟,姉妹,父,母,子,畑を捨てた者でその百倍を受けない者はいない.

 今のこの時代には,家,兄弟,姉妹,父,母,子,畑,を迫害の中で受け, 後の世では永遠のいのちを受ける. しかし, 先の者があとになり, あとの者が先になることが多い(10:29)」

 義人たるものの第一條件が神樣に全てを委ねることであるのなら, 所有は義人の道に邪魔物ほかならぬ.*

  東京勝利祭壇　李貞馥勝師　          03(3202)9781